ET-KINGとプロBMXライダー内野洋平選手の友情が原動力。音楽とアーバンスポーツの魅力を関西から世界に発信

株式会社BARIKI代表、一般社団法人ARK LEAGUE 代表理事 | 加藤亮

BMXやスケートボード、ブレイクダンスがオリンピックの正式種目になり、注目を集めているアーバンスポーツ。日本でもスター選手が続々と誕生し、各地に専用の施設がオープンするなど大きな盛り上がりを見せています。このカルチャーの普及に尽力しているのが、大阪を拠点にJ-POPユニット・ET-KINGのマネージメントを手掛けている株式会社BARIKIの代表・加藤亮さん。兵庫県三田市でBMXライダーとして歩み始めたそのキャリアは、さまざまな点と点が繋がり、現在、世界を股にかけた活動へと展開しています。

加藤亮

株式会社BARIKI代表、一般社団法人ARK LEAGUE 代表理事 | 加藤亮

かとうあきら/1978年生まれ。大学在学中からBMXのライダーとして活動し、居住する兵庫県三田市でイベントを開催するなど地元の活性化に貢献する。卒業後、広告代理店での勤務を経て2015年に株式会社BARIKIを設立。ET-KINGを始めとするアーティストマネージメントの他、イベント開催、広告業、オリジナル商品の開発など多岐にわたる活動を展開している

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映画「えんとつ町のプペル」とET-KINGを繋ぐ数奇な縁

音楽やファッションと密接なつながりを持ち、今や一般層にまで広く認識されているアーバンスポーツ。このカルチャーを世界規模で発信する大会「ARK LEAGUE」を主催するのが、一般社団法人ARK LEAGUEの代表理事であり、大阪に拠点を置く株式会社BARIKIの代表でもある加藤亮さん。その精力的な活動の原動力となっているのは、古くからの友人である人気J-POPユニットET-KINGとARK LEAGUEのオーガナイザーを務める内野洋平選手の友情でした。

 

キングコング・西野亮廣さんの原作を、最新の映像技術を駆使してアニメ化した映画「えんとつ町のプペル」。2021年に公開された邦画の中でも高い興行成績を記録し話題となりましたが、その物語が生み出された背景には、ET-KINGと西野さんを繋ぐ不思議な縁がありました。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「ET-KINGの現場マネージャーの岡崎君が、道頓堀のたこ焼き店『くれおーる』の加西社長と仲が良く、加西さんが『プペルで道頓堀を盛り上げたい』という内容で西野さんとZOOMで会話をしているときに岡崎君も横にいたんです。それを知った時に西野さんが『え、なんで!?』と非常に驚かれて。というのも西野さんはET-KINGを知って、『えんとつ町のプペル』を執筆する際も、彼らの『さよならまたな』という曲をずっと聴かれていたそうなんです。さらに物語の実質上の主人公であるブルーノが実はリーダーだった、いときんをモデルにしていたと。これを知ったときは、僕も鳥肌が立ちましたね。西野さんも、その日の夜のYouTube配信で初めて明かされていました」

西野亮廣さんのET-KINGに対する想いを知った加藤さん。映画「えんとつ町のプペル」では、エンドクレジットにいときんさんの名前を発見し、号泣したとのこと

かくして出会った両者の縁を形にすべく、西野さんにET-KINGとOSAKA ROOTS(いときんがボーカルだったバンド)による「えんとつ町のプペル」主題歌のカバーを提案し、レコーディングが実現。両者を引き合わせたくれおーる加西社長の思いを受けて、MV撮影は道頓堀で行われました。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「おかげさまでYouTubeでの再生回数も、もうすぐ100万回になります。ただ、あの曲はあくまで西野さんのものだし、西野さんが映画のエンドロールにいときんの名前を入れてくれているのに、僕らがこのご縁をマネタイズするのは違うと思ったので、あの曲の配信には広告を付けていないんです。西野さんには本当に感謝しかないですね」

BARIKI社内に併設されているレコーディングスタジオ。「えんとつ町のプペル」のカバーもここで制作された

兵庫県三田市をBMXを通じて街を盛り上げたフリーター

愛知県知多市出身の加藤さんは、大学進学を機に兵庫県三田市に移り住み、在学中からBMXライダーとしての活動を開始。三田市でアーバンスポーツのイベントを開催するなど、20代にして、すでに現在の仕事に通ずる才能を発揮していました。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「BMXを通してできあがったコミュニティがきっかけで三田の会社の社長さんたちと知り合うようになり、街のことが大好きになっていったんです。それで、この街に何か恩返しができないかと思って、今でもお世話になっている、三田の福助グループの福西社長に相談しました。社長から企業を紹介してもらい300万円ほど集め、2005年に初めてイベントを主催しました。当時はBMXのパフォーマンスでクラブに出演していて、そこで知り合ったデビュー前のET-KINGにも出演をオファーして。3年続ける頃には5000人を集客する規模になって、そこでダンスやプロボクシング、トライアルバイクとの繋がりができました」

三田市を愛する加藤さんは、街への恩返しのため手作りのイベントを企画。多くのアーバンスポーツのプレイヤーやミュージシャンたちがその意志に賛同し、ノーギャラで参加しました

三田市始まって以来の画期的なイベントを成功させた加藤さんでしたが、当時はまだ家庭教師で生計を立てていたフリーターだったこともあり、やがて“就職”の二文字を意識するように。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「BMXの大会にも出ていたけど全然成績が取れず、選手の道は厳しいかなと思ったのと、30歳を前にちゃんと働かなければと思って。いろいろ面接を受けた結果、地元の広告代理店に入ることができました。この会社では上司に恵まれ、花火大会などのイベントや行政とのやり取りなど、今の仕事にも繋がることをたくさん勉強させてもらいました。ただ、僕がネクタイやスーツを身につけるのが本当に嫌で、カジュアルな格好に髭をはやしたまま営業に行ったりして、在職中はしょっちゅう怒られていました(笑)」

盟友・ET-KINGからの要望をきっかけに独立

広告代理店での勤務が8年目を迎える頃、加藤さんは次なるステージの構想を描き独立。2015年、大阪で自らのアイデアを形にする発信基地、株式会社BARIKIを設立します。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「そろそろ独立しようかなと考えていた頃、ET-KINGのメンバーが結婚したり子どもができたりと環境が変わり、東京から大阪に帰ってくることになったんです。彼らとはずっと仲が良かったこともあって、『あきらちゃん、大阪で俺らの事務所やってくれへん?』と言われたことがBARIKIの出発点。ただ、音楽マネージメントについては、まだまだ勉強中なので、今は、それに前職で培った広告やイベント企画、除菌スプレーなどのオリジナル商品の開発も加えた3本の柱でやらせてもらっています」

BARIKIの社名の由来は、加藤さんとET-KINGの大半のメンバーが午年生まれだったことに由来。「馬力を出して引っ張っていこう」という思いが込められています

地元・大阪へと帰ってきたET-KINGは現在、絶大な信頼を置く加藤さんと共に新たな活動を展開中

かくして動き出したBARIKI。加藤さんは、絶大な人気を誇るET-KINGと真正面から向かい合うため、自分のルーツであるアーバンスポーツを大規模に発展させることを決意します。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「僕、音楽に関しては楽譜も読めないし本当に何も知らなくて。そんな中でもBARIKIの主としてET-KINGに意見を言うには、彼らと対等の立場になれるような実績を作らないといけない。それもあって自分が育ってきたアーバンスポーツの普及に尽力しようと思ったんです。まず、僕の友人である内野洋平選手というプロBMXライダーと前職の先輩がいるんですけど、彼と一緒に『5年で世界一のBMXの大会を作ろう』と話しました。内野選手が見てきた世界中の大会の良いところに日本流のおもてなしを加え、常に選手ファースト・選手のホスピタリティに徹底的にお金を使うということを実践したら、結果的に当初の予定より早く、4年で目標を達成することができました」

アメリカで誕生したBMXはレースから派生して、さまざまな技を競い合うフリースタイルも発展し。加藤さんもライダーとして活躍しました

世界規模のアーバンスポーツ大会を関西から。手作りで築き上げた実績

短期間で世界にその名を轟かせた加藤さんは、BARIKIとは別で一般社団法人を起ち上げ、BMXにスケートボードを加えた競技大会「ARK LEAGUE」を企画。こちらもわずか1年で、世界で知られる大会に成長し、その勢いを持って関東への進出も果たします。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「2017年の神戸大会が成功したこともあり、その勢いを東京で開催されるオリンピックに向けたかったんです。2019年に神奈川県と話して、寒川町での開催が決定。競技もブレイクダンスを加えた3種目にして、おかげさまで多くの人に足を運んでもらうことができました。スイスに本部がある、WORLD SKATE(ワールドスケート)へプレゼンテーションした結果、その甲斐もあって2020年はARK LEAGUEのスケートボードストリートがオリンピックの予選大会として正式に認定されたんですけど、コロナ禍もあって中止になってしまって…ただ、この実績は、自分にとって大きな自信になりました」

日本におけるアーバンスポーツの総本山となったARK LEAGUE。海外からもトッププレイヤーたちが参加し、世界中の注目を集めています

商業ベースではない自分たちのイベントを一歩ずつ大きくしてきた加藤さん。これまで築き上げてきた繋がりを集約したイベントを近い将来、開催したいと思い描いています。

加藤亮さん(以下:加藤さん)

「うちの会社が主催でBARIKIフェスみたいなイベントをやりたいんですよね。ARK LEAGUEはオリンピックの予選大会になったので競技以外のカルチャーを絡めるのが難しいけど、BARIKI主催ならアーバンスポーツの横でET-KINGやなじみのアーティストたちがライブをやるのもありだし、2018年からやっているトライアルバイクの大会を絡めると、さらに面白くなりそう。まだいつできるかは分かりませんが、既存のフェスとは趣の違う、BARIKIのことを好きな人達に楽しんでもらえるプライベートビーチのようなイベントにできればと考えています」

目の前に淀川を望むことができるBARIKI社の屋上。リバービューを望みながらバーベキューを行うこともあるのだとか

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