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弁護士・漣法律事務所代表 | 近藤陽介
2021.05.31
洋服好きになったことをきっかけに、仕事・プライベートともに人生が広がっていったという近藤陽介弁護士。ファッションを通じて出会ったモノゴトやプライベートでの変化をはじめ、自身のルーツである京都でのお話もうかがいました。
弁護士・漣法律事務所代表 | 近藤陽介
こんどうようすけ/1981年、京都府生まれ。漣(さざなみ)法律事務所代表。早稲田大学法学部を卒業後、2008年に司法試験に合格。2019年1月に漣法律事務所を開設した。誠(誠実に)・筋(筋を通して)・尊(相手を尊び)・学(向学心をもって)・謙(つつしみ深く)をモットーに相談者と向き合い、ファッション関連の企業からも熱い信頼を得ている。
京都府出身の近藤さんは、小学校のころに上京。高校時代にストリートファッション最盛期の“裏原”に通いつめるようになって以来、ファッションの世界に魅了されはじめました。それからというもの、洋服を通じて仕事・プライベートともに、人生が広がっていったと話します。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
洋服好きになったきっかけは、“裏原”最盛期に流行ったメンズブランド『NUMBER (N)INE(ナンバーナイン)』に衝撃を受けたこと。それからファッションにどっぷりハマって、大学時代にいまも一番好きなブランド『Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)』に出会いました。学生時代から洋服を通じた出会いはたくさんありましたが、大人になってからも人生がいろんな方向に広がっていきましたね。
仕事でよかったこともたくさんありましたし、『ヨウジヤマモト』をきっかけに出会ったアーティスト・内田すずめさんとのトークショーを主宰したり、アートに興味を持つようになるなど、プライベートにも大きな変化がありました。
ファッションにハマってから、ブランドの歴史や服作りの工程にも興味を持つように。それを機に、現在コーディネートの基盤としているブランド『ヨウジヤマモト』と出会います。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
勉強していくと、海外ブランドでも思わぬところに日本との関連性が見えたりしておもしろい。例えばルイ・ヴィトンなら、定番の『モノグラム』柄は日本の家紋、同じく定番の『ダミエ』は市松模様をモチーフに生まれたものだとか。こうしていろんなブランドについて調べていくうちに『ヨウジヤマモト』と『コムデギャルソン』というブランドが、日本人によるブランドでありながらパリコレに行き、ファッション界に衝撃を与えたことを知って。それから自分好みのデザインというのもあり『ヨウジヤマモト』のファンになりました。
以来、毎日のコーディネートは『ヨウジヤマモト』が基盤に。同ブランドに惹かれた理由は、デザイナー・山本耀司(ようじ)さんの存在も大きいそう。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
特に好きなブランドがない人は、その歴史やデザイナーに共感する部分があるか? というところから、いろんなブランドを見るのもおもしろいと思います。僕のファッションの根幹となるのは『ヨウジヤマモト』のデザイナー・山本耀司さんなんですが、デザインが好きなのはもちろん、山本さんを尊敬しているからこそ『ヨウジヤマモト』を着続けているというのがあります。ファッション業界って欧米が中心に発展してきたので、昔は日本人が出て行っても『日本人に分かるか』というような雰囲気があったそうなんです。そのなかでブランドをパリコレに出し、世界で認められたのが山本さんでした。
さらにレディースファッションで言えば、『ヨウジヤマモト』が出てくるまでは“いかに女性のシルエットを綺麗に見せるか”っていうところにしか関心がなかった。そのなかで『ヨウジヤマモト』が無彩色でルーズなシルエットを女性に提案して、それが新しい価値として欧米でも受け入れられていったという歴史があります。山本さんは、いまは当たり前になったファッションの基礎をも作った人なんですね。知れば知るほど、デザインされる洋服だけではなく人としても尊敬するようになりました。
「有名なブランドには一度は袖を通してみたい」と、30代半ばまではいろんなブランドを巡っていた近藤さん。ですが学生時代から一貫して、黒をベースにしたコーディネートが好きなのは変わりません。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
黒ってとても奥深い色で、生地によって表情に違いがあったり、同じように見えても全然違う。今日のコーディネートもベースは黒色で、『ヨウジヤマモト』と『GUCCI』をミックスしました。『ヨウジヤマモト』のTシャツとパンツに、ポンチョとアクセサリーは『GUCCI』。そしてTシャツは、アーティスト・内田すずめさんと『ヨウジヤマモト』とのコラボ作です。大阪の『阪急うめだ本店』限定販売だったので、母に頼んで手に入れてもらいました(笑)。
「『阪急うめだ本店』ではいろんなブランドのポップアップショップが開催されることが多いから、関西在住の人が羨ましい!」と近藤さんは続けます。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
ちなみにこのTシャツのほか、僕が人生ではじめて買った2つのアートも『阪急うめだ本店』限定で販売されていたんですよ。2作品とも内田すずめさんの作品です。
内田すずめさんは『ヨウジヤマモト』の18SSのランウェイショーで最後に出てきたシルクのロングコートをきっかけに知ったアーティスト。内田さんの作品『赤い果実』を大きくプリントしたコートなんですが、絵を洋服に乗せるというのがとても新しく感じて、衝撃を受けました。
それから内田さんのアートとも出会い、ご本人とトークショーも開催させていただいたんです。まさに自分の趣味を広げてくれた記念すべき一着! この出会いがなければ、アートに興味を持ったりイベントを主宰することもなかったと思います。
ファッションを通じてさまざまに趣味を広げてきましたが、その根底には茶道に啓蒙が深いご実家での時間があるといいます。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
茶道って、提唱されはじめた当時はめちゃめちゃアバンギャルドだったんですよ。お茶を飲むだけではなく“空間自体のわびさびを楽しむ”という提案が、一つの文化として徐々に受け入れられ、確立されたという歴史があります。だから、その起源は割と “攻めているカルチャー”なんですよね。
そういった文化の成り立ちにじっくり接してきことは、洋服との関わりかたにも影響しています。僕は好きなブランドだけではなく、常に情報を追いかけて新しいファッションを楽しみたい。ファッションに限りませんが、そんな保守的にならない性格は茶道の影響が大きいと思います。
そんな近藤さんですが、ワークスタイルにもこだわりが。毎朝4時に起き、お昼には仕事を終えるというから驚きです。そのなかで一番好きな時間が、ファッション誌を片手に過ごすランチタイムなのだそう。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
始発の時間から仕事をしているので、ランチタイムに切り上げることが多いんです。仕事終わりはファッション雑誌と財布だけを持って、事務所の近所でご飯を食べるのが日課。いまはブランドのHPでランウェイの動画も見られますし、情報源も豊富です。だからこそ、あえてスマホを持たずに雑誌を読むようにしています。1日のなかで区切りの時間に、ゆったり眺めているとすごく落ち着くんですよ。
学生時代からパリコレなどの世界のコレクション情報をまとめた『gap Press』やファッションのトレンドなどを届ける『WWD』など、年に4回出るファッションショーをまとめた業界誌がすごく楽しみでした。いつも持ち歩いて電車で読んだりしていたから、その経験も影響しているのかなと思います。
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
洋服を通して、たくさんの仲間とも出会いました。大学時代に好きなブランドのお店で集まっていた友人とは、もう20年くらいの付き合いになります。大人になってからは彼らの会社の顧問をさせてもらったり、何かがあったときに相談や紹介を受けるなど、仕事でも一緒になることが増えましたね。
「それだけ洋服が好きな近藤さんだから」と、「漣法律事務所」のクライアントはファッション関連企業や美容関連の企業も多くいます。趣味をきっかけに公私ともに広がりをみせますが、今後は洋服を通じて、どんなことをはじめていかれるのでしょう?
近藤陽介さん(以下:近藤さん)
ファッション関連の企業さまから美容関係の企業さまにも繋がって、化粧品メーカーの上場の準備から社外役員として携わらせていただいたり。洋服は公私ともに僕の人生を広げてくれていますね。
趣味で言えば、またトークショーを主宰したいのと、『ヨウジヤマモト』好きな人のコミュニティを作れたらと考えています。新型コロナウイルスの流行もあるのですぐにはできませんが、学生時代に同じブランド好きな仲間と集まっていたように、共通の趣味を持った人と話したりすることが好きなので。自分の人生を豊かにしてくれたそんな場所を、今度は僕自身が作っていけたらなと思います。
鴨川デルタ
住所 京都府京都市左京区下鴨宮河町
鴨川と高野川の合流地点である通称「鴨川デルタ」は、映画のロケ地やアニメの舞台としても名高い、地元民の憩いの場です。
「場所は京阪電鉄・出町柳駅からすぐ! 橋がある辺りに、亀型や矩形(四角)、千鳥型をした『飛び石』が置かれているんですが、それをジャンプしながら向こう岸に渡ることができます。幼少期の思い出の場所でもあり、いまでも京都に帰ると必ず遊びに行くスポットです。観光地とはまた違った京都の日常を感じられる場所なので、ぜひ立ち寄ってみてください」(近藤さん)