40代でキャンプ初体験。アウトドアライフの非日常が生み出す明日への活力

DJ・パーソナリティ | 中島ヒロト

「FM802」で毎週月〜木曜にレギュラー番組を担当、DJとして30年を超えるキャリアを持つ中島ヒロトさん。40代にしてキャンプと出会いアウトドアを満喫する現在のライフスタイルには、大切な仲間との出会いという大きなきっかけがありました。

中島ヒロト

DJ・パーソナリティ | 中島ヒロト

故郷である熊本のラジオ番組でデビューし、1994年のオーディションを経てFM802のDJに。デビュー以後、レギュラー番組を欠かさず、現在は月曜〜木曜で「THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS」を担当している。

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入り口は洋服から。出会いが繋いだキャンプへの道

FM802の看板DJである中島ヒロトさんが今、夢中になっているもの、それはキャンプ。快活な語り口で関西を元気にしている中島さんのイメージからすると、アウトドアのイメージもさもありなんという感じですが、キャンプ初体験は意外にも40代を過ぎてから。洋服を通じて知り合った友人からの誘いがきっかけでした。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

僕、もともと無趣味な人間で、音楽を聴いたり話すことは好きだけど、それを仕事にしてしまったので、じゃあ趣味はなにか?と聞かれたら特に思いつかなかったんですね。ただ、洋服は昔から大好きで、特に『PLAY DESIGN』というブランドがお気に入りなのですが、ちょっとしたきっかけでオーナーの川井龍二さんと知り合いになって、彼があるときキャンプに誘ってくれたんですよ。「手ぶらでいいから、車で姫路のキャンプ場まで来てください」って。それがすべての始まりでした。

若い頃からアメカジやアウトドアウェアが好きでキャンプへの密かな憧れはあったという中島さん。「でも、自分からは踏み出せなくて、気づいたら40代に(笑)」

仕事を終え、姫路へと車を走らせた中島さん。そこで待っていたのは、大自然の恵みを全身で体感する非日常的な光景でした。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

夜の10時ぐらいに現地に着いたんですけど、もうすでに僕のためのテントが張られてあって、料理も作ってくれていたんです。川井さんの他は初めて会う人ばかりだったんですけど、1人ずつ紹介してもらい、焚き火を囲んで、お酒を飲んでとりとめもない話をしました。その日は天気も抜群で、もう、とにかくめちゃくちゃ楽しかったんですよ。

最初のキャンプではすべて用意を揃えてもらったという中島さんですが、現在ではテントをはじめとしたセッティングも楽々とこなします

みんなが素直になれてしまう、キャンプの醍醐味

初回にして最高のキャンプを体験した中島さん。衝撃的な楽しさに、キャンプ熱が一気に高まりを見せます。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

そのキャンプのメンバーにアウトドアショップの人がいたんですけど、彼からキャンプ用品を一式、即購入しました。それ以来、結構お誘いをもらうようになり、自分でも機材を調べて揃えるようになりました。今では自宅の一部屋が完全にキャンプ道具専用になっています(笑)。

キャンプにのめり込むようになった中島さんは、以後、自らが率先して未体験の仲間や友人を誘うように。焚き火や野遊び、開放的な空間で食べる料理はもちろんですが、非日常的な空間で生まれるコミュニケーションにこそキャンプの醍醐味があると語ります。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

お酒を飲むとすぐ寝ちゃうので、朝は僕が真っ先に目覚めるんです。それで前の日の缶とか食器を洗っていると1人、2人と友人が起きてくるので沸かしていたコーヒーを飲みながら、「最近どうなの?」みたいな、ちょっとだけ真面目な話をします。夜はバカ話しかしないけど、朝はリセットされるのか、みんなちょっと素直になるんですよね(笑)。そうやって非日常の中で少しずつ、明日の現実に繋がっていく感覚が好きですね。

食材やグッズも身近なもので十分。中島さんのキャンプの楽しみ方は、まず自然の恵みに身を委ねることから

経験者は語る!おすすめグッズ&スポット

キャンプやアウトドアに興味はあるけど、何から始めれば良いのかわからないという人は多いはず。そこで、キャンプ愛好家としてキャリアを積み重ねている中島さんに、入門編にうってつけなおすすめのグッズについて教えていただきました。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

洋服はデザイン性、機能美を兼ね備えているので、ほとんど『PLAY DESIGN』で揃えていますね。火器ならユニフレームというメーカーのものを多く使っていますが、1人用の食事を作るならSOTOのレギュレーターストーブがおすすめ。家庭用でおなじみのイワタニから出ているアウトドア用のカセットコンロも機能性が抜群ですね。テントや寝袋は、アメリカのビッグアグネスのものがカッコよくて簡単に立てられるのでお気に入りです。僕や友人のキャンプ仲間は、みんなこの会社のテントを使っています。

グッズが揃ったら肝心の場所選び。中島さんがお気に入りのキャンプスポットは?

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

和歌山に『オレンジ』っていう有名なアウトドアショップがあって、そこが経営している『新子(あたらし)キャンパーズパーク』は、年に数回、必ず行っています。とりあえずキャンプする?となったら、ほぼ、ここ。かつらぎ町という本当に緑豊かな場所にあるんですけど、川も流れているし、今、桜の木も植えていて、何年かしたらきれいな花を見ながらキャンプができるようになるでしょうね。

キャンプ用品がずらっと並ぶ中島さん宅の一室

身近なもので始めるキャンプへの第一歩

ここ数年、続いているブームを受け、キャンプ人口は増加の一途をたどっていますが、中島さんはキャンプを楽しむための心構えとして、「無理をしないこと」が大事と語ります。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

グッズの話をした後でなんですが、最初のうちはテントもレンタルでいいし、食器も100円ショップで買ったもので十分。道具に凝るのはキャンプの魅力を知ってからでも遅くはありません。あと、僕は基本的にキャンプに行くのは春と秋をメインにしていて、夏は1回ぐらい。「冬はどうしていますか?」とよく聞かれるけど、寒いので行きません(笑)。厳しい天候で無理する必要もないので、予報で雨だと分かれば延期するし、快適な気候で楽しく過ごすのが最優先と思っています。

キャンプにハマるまでは、あまりやらなかったという料理も今や手慣れたもの

キャンプを体験したことで生活が一変した中島さん。今ではキャンプ伝道師として、その魅力を多くの人に伝えることに注力しています。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

もし、かつての自分のように興味はあるけど一歩踏み出せない人がいるなら、「持ち物は家にあるもので大丈夫!」とお伝えして敷居を下げるのが僕の役目かな。ラジオでもそんな話をして、キャンプの裾野を少しでも広げられたら嬉しいですね。個人的には、いつかソロキャンプにも挑戦したいです!

DJとしての自分を確立した朝の10年間

故郷・熊本でのデビュー以来、現在までレギュラー番組を絶やしていない中島さん。30歳の頃に訪れたFM802での大抜擢は、その後のキャリアを積み重ねていく上でも大きな達成感を感じた出来事でした。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

大阪に出てきて4年目で、月曜〜木曜の帯番組『HAPPY FUN RADIO』のDJとして依頼をいただいたんです。最初は、まあ1〜2年続けられたらいいかなと思っていたんですけど、最終的には、なんと10年もの間、担当させていただくことができました。

それまで夜の番組しかやってなかったので、ディレクターから『あいさつは、おはようございますだからな!』なんて心配されてました(笑)

2008年10月に無事、番組を完走。最終回では万感の思いが溢れ出し、エンディングで号泣してしまうことに。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

泣いちゃうのとか本当にダサいなと思ったんですけど、僕の30代は、すべてこの番組に捧げましたからね。お別れのあいさつをする時に、もう耐えられなくなっちゃって。終了後に、普段は寡黙なディレクターがすっと握手の手を差し出してきて「10年、一緒にやれて良かったよ」って。そこで、また大号泣ですよね(笑)。この時の経験があるから今、夕方の帯番組を続けられていると思うし、そちらもおかげさまで13年目を迎えます。

後進たちが道を歩む手伝いをしたい

毎年オーディションを行っているFM802では、DJを目指す多くの若者たちが、その門をたたきます。中島さんは今、そんな後進たちに何かしらのアドバイスが出来ないかと思いを巡らせているのだとか。

中島ヒロトさん(以下:ヒロトさん)

まだおぼろげに考えているだけですけど、この年までラジオで食べさせてもらっているし、この先ラジオがメディアとして残っていくためには、後進の育成というのも必要になってくるのかなと。どういう形式が良いのかはまだ分からないし、正直、技術についても「盗め」「背中を見ろ」みたいな業界なんですけど、そうではない教え方というか。DJになったけど、その先をどうすればよいのか迷っている人の道標みたいなものを作れたらいいなと思っています。

「DJって100人いたら100人とも違うから難しいんですよね」と言いつつ、後進たちの活躍について語る表情は嬉しそう

取材はFM802にて

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